複利計算の読み方|増える仮定と、損失からの回復
はじめてのFX・第8回
複利は、前の期間に得た利益も、次の計算の元に含める方法です。利益が出る仕組みそのものではありません。
この記事では「再投資の効果」「入金と利益の違い」「損失から戻す計算」の3つを、10万円の例で見ていきます。
ここでは一定の利回りを使う説明用の計算と、損失から回復する計算を扱います。将来収益やFXの運用成績を示すものではありません。
単利と複利は、利益を次の計算へ含めるかの違い
単利は元本を基に利息などを計算し、複利は生じた利息・利益も次の計算の元に含めます。
仮に10万円から始め、毎月1%の利益が出るとして、入出金・税金・費用を除きます。1か月目は100,000×1.01=101,000円です。
複利なら2か月目は101,000×1.01=102,010円。利益を再投資しない単利の比較では、毎月元本10万円の1%=1,000円を計上し、2か月後の元本と利益の合計は102,000円です。
差の10円は、1か月目の利益1,000円にも1%が掛かったことから生まれます。1%を毎月得られるという意味ではありません。
入金で増えたお金と、運用で増えたお金を分ける
10万円で始め、運用損益が0円でも、毎月末に1万円ずつ2回入金すると資金は12万円になります。入金総額も12万円で、運用利益は0円です。
月末の入金は、その月の運用計算の後に加える仮定です。仮に月利1%、月末入金1万円なら、1か月後は100,000×1.01+10,000=111,000円。2か月後は111,000×1.01+10,000=122,110円です。
入金総額120,000円を引いた2,110円が、ここでの運用損益になります。資金の増加全体を利益と呼ばないようにします。

わあ、10万円が12万円になってる! これを見ると「2万円もうかった!」って喜んじゃいそう。

途中で2万円を入金しただけなら、運用利益はゼロだよ。入金・出金と運用損益を分けて比べよう。

あっ、そうだった! 自分で入れたお金まで利益に数えちゃうところだったね。分けて見れば、ちゃんと分かるんだ。
20%の損失は、20%の利益では戻らない
10万円が20%減ると、80,000円です。そこから20%増えても、80,000×1.20=96,000円。元の10万円には届きません。
戻すのに必要な増加は20,000円なので、20,000÷80,000=25%です。損失後は計算の基準になる資金が小さくなっています。

ええっ、20%減った分を戻すのに25%も必要なの? 同じ20%で戻ると思ってた……。

減る前の10万円と、減った後の8万円では、割合を掛ける元の金額が違うからだよ。何に対する何%なのかを見よう。
入出金がなく、損失率が0%以上100%未満の場合、元の資金へ戻すための回復率は「損失率÷(1−損失率)」で求められます。割合は20%なら0.20として入れます。
50%減った資金を戻すには100%の増加が必要です。100%を失って資金が0になった場合は、この式の分母も0となり、残った資金に収益率を掛けるだけでは戻せません。入金で補った場合は運用による回復と区別します。
グラフを見る前に、計算の前提を読む
複利シミュレーションは、月利が毎月一定で、利益を再投資し、追加入金を月末に行うモデルです。月利は口座資金に対する率なので、レバレッジをもう一度掛けません。
正の月利を入れれば増加する線が出ますが、実際のFXでは損失月もあり、税金・費用・出金・ロスカットで結果が変わります。スワップの受取も、自動的に再投資されると決まっているわけではありません。
ツールは税引前で、指定月利をコスト反映済みの想定として扱います。ロスカットは再現しません。負の率を入れた長期の比較にも、実口座の継続を保証する意味はありません。
「年利12%」と「月利1%」も同じ計算ではありません。月利1%を12か月複利で続ける仮定なら、1.01の12乗−1=約12.68%です。期間の単位を確認します。
最後に、2つだけ確認
Q1. 運用損益0円で、初期10万円に毎月末1万円を3回入金。運用利益は?
答えを見る
0円です。資金13万円の増加分3万円は入金によるものです。
Q2. 資金が50%減った後、元に戻すために必要な増加率は?
答えを見る
100%です。半分になった資金を2倍にする必要があります。
まず、覚えておきたいこと
- 利回りと期間:月利か年利か、一定の率を仮定しているか。
- 再投資と入出金:利益を再投資するか、いつ入金・出金するか。
- 費用と税金:何が計算に含まれ、何が省かれているか。
複利は計算方法であり、一定の利益を生む仕組みや保証ではありません。FXでは証拠金以上の損失も生じ得ます。

