FXの取引前に確認したいこと|数字とリスクを言葉にする

はじめてのFX・第7回

ここまでの言葉を使って、「この注文が逆に動いたら、何円の損失になるか」を説明してみましょう。分からないところがあれば、その項目に戻れば大丈夫です。

確認するのは、①数量、②決済価格のずれ、③資金と会社のルール、④コスト、⑤業者と通信環境です。チェックがそろえば安全という合格表ではなく、分からない条件を見つけるための整理です。

数値は説明用の仮定です。FXは元本や利益が保証されず、証拠金を超える損失も生じ得ます。この記事は取引開始をすすめるものではありません。

① 数量を、通貨数と金額で言えるか

通貨ペア、買い・売り、通貨数、1Lotの定義を確認します。「少ないLotだから小さな取引」とは限りません。

仮にドル円150円で10,000通貨なら、取引金額は150万円。買いのレートが0.50円下がれば、為替損益は−0.50×10,000=−5,000円です。1,000通貨なら−500円。ここでは他のコストを除いています。

損益シミュレーターで仮の数字を確認できます。ツールの計算値は、損失の上限を保証しません。

② 決済価格がずれた場合も計算したか

決済の逆指値は、指定価格での約定を保証しません。ロスカットも、急変などでは証拠金以上の損失を防ぎきれません。

上の10,000通貨の買いが、希望した149.50円ではなく149.20円で決済された仮定なら、(149.20−150)×10,000=−8,000円です。希望価格での計算より3,000円大きな損失になります。

ドル円150円で10,000通貨買った例。149.50円で決済なら損失5,000円。実際の決済が149.20円なら損失8,000円。価格差0.30円で損失が3,000円増える。
マキ

5,000円の損失を見込んでいても、そこで止まるとは限らないのね……。思ったより大きくなるかもって考えると、ちょっと怖いな。

カズ

そう。予定した損失と、起こり得る損失は同じではないよ。価格がずれた場合の金額も、数量と一緒に確認しよう。

③ 資金と、会社のルールを確認したか

必要証拠金の計算方法、維持率、ロスカット基準、不足が生じた場合の扱いを、会社の契約締結前交付書面などで確認します。会社やサービスで条件が異なります。

取引量計算が出す数量は、仮の損失予算と値幅から求めた機械的な値です。その数量で取引できるか、証拠金が足りるか、本人に適切かは別の確認になります。

自分の言葉で埋める、注文前のメモ

注文前に整理する5項目。何を何通貨売買するか、どの条件で終えるか、価格がずれたら何円か、資金と会社の条件は何か、通信障害時にどこへ連絡するか。

④ コストやスワップの変化も考えたか

スプレッドは広がることがあります。手数料の有無だけでは負担全体を判断できません。スワップも変動し、受取から支払に変わることがあります。

スワップシミュレーションで長期の数字が出ても、実際に同じ金額が続く保証はありません。為替損失や途中の強制決済は、受取スワップとは別に考えます。

⑤ 業者と通信環境を確認したか

日本に居住する人へ業としてFX取引を提供するには、日本の金融商品取引業の登録が必要です。海外のライセンスがあるだけでは、その代わりになりません。

登録は利益や安全を保証する印ではありません。会社の信用状態や公開するリスク情報も確認が必要です。

会社のシステムや、自分の端末・回線の障害で、注文や決済が遅れたりできなくなったりすることがあります。障害時の連絡方法と注文の扱いは、会社の説明を確認します。

「必ずもうかる」を判断の根拠にしない

確実な利益、損失の完全な回避、将来のスワップ受取は保証されません。生活費や近い将来に使う資金へ損失が及んだときの影響も、取引の数字と分けずに考えます。

理解できない条件や、損失の影響を説明できないまま、取引を急ぐ必要はありません。この一覧を埋めることは、取引を始める義務でも合格判定でもありません。

マキ

ねえ、調べても分からないことが残ったら、今日は注文しなくてもいいかな? 焦ると余計に迷っちゃいそうで……。

カズ

もちろん。分からないまま急ぐ必要はないよ。計算や条件を確認するだけの日があってもいいんだ。

マキ

よかった、少しほっとした! 今日は気になったところをメモして、ひとつずつ確かめてみるね。

最後に、2つだけ確認

Q1. ロスカットがあるので、急変時の損失も必ず一定額に収まる?

答えを見る

収まるとは限りません。判定から約定までの動きなどで、損失が拡大する場合があります。

Q2. 海外でライセンスを持つ業者なら、日本の登録は確認しなくてよい?

答えを見る

確認が必要です。日本居住者への提供には日本の登録が必要です。

まず、覚えておきたいこと

数量、ずれた決済価格、資金と維持率、コスト、業者と通信環境を言葉にします。確認してもリスクはなくならず、取引をすすめる根拠にはなりません。

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