証拠金・レバレッジ・ロスカット|3つの言葉を分けて覚える
はじめてのFX・第3回
「口座には10万円しかないのに、150万円分の取引ができる」。FXで最初に戸惑いやすいところです。
まずは、次の3つを分けて考えましょう。
- 証拠金:取引のために預けるお金。
- レバレッジ:口座の資金に対して、取引が何倍の大きさか。
- ロスカット:会社の基準に達すると、保有中の取引を強制的に決済する仕組み。
この記事では、ドル円150円・口座の純資産10万円を使って説明します。数値や画面は学習用の仮定です。適切な資金額や取引量をおすすめするものではありません。スプレッド・手数料・スワップ・税金・他の取引は省きます。
「口座のお金」と「取引金額」は別の数字
ドル円を10,000通貨買うと、1万米ドル分の取引になります。1米ドル150円なら、取引金額は150円 × 10,000通貨 = 150万円です。
一方、取引のために口座へ預けるのが証拠金です。FXは売買の差額をやり取りする仕組みなので、取引金額と同じ150万円を必ず預けるわけではありません。
必要証拠金は、取引に必要な最低限の額
この例では証拠金率を4%とします。必要証拠金は、150万円 × 4% = 6万円です。
口座にある10万円とは別に、さらに6万円を支払う意味ではありません。また、必要証拠金は取引の手数料でもありません。

ねえ、必要なお金が6万円なら、損をしても6万円まで……って考えていいのかな?

そこは別なんだ。必要証拠金は取引に必要な額で、損失の上限ではないよ。相場によっては、預けたお金を超える損失も起こり得るんだ。

えっ、預けたお金を超えることもあるの……。必要なお金と損失の上限は違うんだね。取引する通貨数も、ちゃんと見ておかなくちゃ。
国内の個人向け店頭FXでは、取引金額の4%以上の証拠金が必要です。倍率に換算すると25倍以下になります。必要証拠金の具体的な算定方法や条件は、利用する会社で確認してください。
レバレッジは「取引金額 ÷ 純資産」
このブログでは、自分が持っている取引の大きさを表す倍率を実効レバレッジと呼びます。
実効レバレッジ = 取引金額 ÷ 口座の純資産
純資産は、ここでは「預けた資金に、保有中の評価損益を加減した金額」です。取引を始めた時点で評価損益がゼロなら、純資産10万円に対して150万円の取引なので、150万円 ÷ 10万円 = 15倍です。
「上限25倍」と「自分の取引は15倍」は、別の数字です。上限まで取引する必要はありません。
同じ口座資金でも、数量を減らすと倍率は下がる
同じ1円の値下がりでも、買っている数量が10倍なら、損失も10倍です。利益になる方向へ動いた場合も、金額は数量に応じて変わります。
倍率を上げると利益が出やすくなるのではなく、同じ値動きの影響が大きくなります。 低いレバレッジでも損失は生じます。
なお、同じ取引数量のまま口座資金を増やすと倍率は下がりますが、1円の値動きによる損益額は変わりません。損益額を変えるのは、取引する数量です。
維持率は「必要な額に対して、純資産がどれだけあるか」
ロスカットを理解するために、もう1つだけ確認する数字があります。証拠金維持率です。
証拠金維持率 = 純資産 ÷ 必要証拠金 × 100
最初の例では、純資産10万円 ÷ 必要証拠金6万円 × 100 = 約166.7%。必要証拠金に対して、純資産が約1.67倍あるという意味です。「利益が166.7%出ている」という意味ではありません。
ドル円が150円から149円になったら?
150円で買った10,000通貨に、(149 − 150)× 10,000 = −1万円の評価損が出ます。このため、純資産は10万円から9万円へ減ります。
この例では、必要証拠金も現在のレートで計算し直します。
- 必要証拠金:149円 × 10,000通貨 × 4% = 59,600円。
- 維持率:90,000円 ÷ 59,600円 × 100 = 約151.0%。
必要証拠金も少し減りますが、それ以上に純資産が減ったため、維持率は166.7%から151.0%へ下がります。実際の算定方法や更新タイミングは会社によって異なります。
ロスカットは「損失を必ず止められる約束」ではない
ロスカットは、損失の拡大を防ぐため、会社の基準に達したときに取引を強制的に決済する仕組みです。判定基準は会社ごとに異なります。
たとえば「維持率100%」を基準にするモデルなら、純資産と必要証拠金が同じ額になるところが境界です。ただし、100%はすべての会社に共通する基準ではありません。

自動で決済してくれるなら、ちょっと安心しちゃうな。その基準まで待っていても大丈夫なの?

基準は安全の保証ではないよ。相場が急に動くと、判定から決済までの間にも損失が広がることがある。自分が許容できる損失と取引量は、始める前に考えておこう。
ロスカットでも、希望した価格で決済できるとは限りません。相場の急変やスプレッドの拡大などによって、預けた証拠金を超える損失が生じる場合があります。
自分で損失を抑えるために出す「損切り注文」と、会社が実行するロスカットも別のものです。注文方法は成行・指値・逆指値の記事で確認できます。
最後に、3つだけ練習
Q1. 取引金額150万円、純資産30万円。実効レバレッジは何倍?
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5倍です。150万円 ÷ 30万円 = 5。必要証拠金ではなく、口座の純資産で割ります。
Q2. 純資産10万円、必要証拠金6万円。維持率は約何%?
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約166.7%です。10万円 ÷ 6万円 × 100で計算します。証拠金率4%と維持率166.7%は、分母も意味も違う数字です。
Q3. ロスカットがあれば、預けたお金を超える損失を必ず防げる?
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必ず防げるわけではありません。 急変などでは想定した価格で決済できず、証拠金を超える損失が生じることがあります。
取引前に見る数字を、分けて覚えよう
- 必要証拠金:その取引に必要な額。損失の上限ではない。
- 実効レバレッジ:純資産に対して、取引が何倍の大きさか。
- 維持率:必要証拠金に対して、純資産が何%あるか。
- ロスカット基準:会社が強制決済を判断する条件。安全の保証ではない。
スワップシミュレーションでは、初期純資産・証拠金率・ロスカット維持率を分けて入力できます。単一の対円建玉について、必要証拠金をレートで再評価するモデルです。期間別の目安には累計スワップを加えますが、途中の相場経路や強制決済は再現しません。結果は保有を続けられる保証ではありません。

